『宇宙戦艦ヤマト』は、1974年に放送が始まった、日本アニメ史に残る金字塔です。TVシリーズの終了後、劇場版や続編が作られ、世代を超えて愛されてきました。壮大な宇宙空間を舞台にした物語は、アニメが子供だけのものではないという認識を浸透させ、話題になったものでした。
そして2012年からの『宇宙戦艦ヤマト2199』、2017年からの『2202 愛の戦士たち』、宇宙戦艦ヤマト2205が2021年10月と2022年2月に前後編の映画として公開、2024年7月からは新シリーズの3199が順次公開されています。
宇宙戦艦ヤマトは、このリメイク版の製作、旧作をリアルタイムで観ていたファンはもちろん、新たにSFアニメに触れる若い層にも注目されました。
どちらのヤマトも素晴らしいですが、両作品を見比べると「あれ、この展開って旧作にはなかったな…」「このキャラの行動、ちょっと違うぞ?」と、知的好奇心が刺激される場面に遭遇しませんか?
この記事では、何だかんだと宇宙戦艦ヤマトを見続けてきたUP主が「旧作とリメイクの違いはどこにあるのか?」の考察を、今更ではありますが個人的な主観を元にしていきたいと思ってますので、良かったらお付き合いくださいね。
注意!まだ未鑑賞の方は、物語の内容に触れる記述もでてきますので、ご注意ください。
『宇宙戦艦ヤマト2199』旧作から大幅変更された物語と設定
|
|
『宇宙戦艦ヤマト2199』は、2012年から2014年にかけて公開されたリメイクシリーズの第一作です。TVでは2013年4月から放送されています。
旧作『宇宙戦艦ヤマト』第一作をベースにしていますが、単なるリメイクにとどまらず現代の視点から大胆な設定変更とストーリーの追加が行われ、旧作ファンだった自分ももその世界観におお!と驚いたものでした。
この章では、ヤマトがイスカンダルを目指す旅路がどのように描き直されたのか、旧作ファンが特に驚いたであろうポイントにも焦点を当てて解説します。
旧作のガミラスを掘り下げた多角的な視点
旧作『宇宙戦艦ヤマト』のガミラス星は、ヤマトの行く手を阻む悪役として描かれ、登場人物もほぼデスラー総統と部下に限られていました。しかし、2199では、ガミラス帝国の内部がより詳細に描かれていて、まずそこに感心した記憶があります。
ガミラスにはお馴染みの青い肌の「ガミラス人」や、いわゆる肌色の皮膚をもつ「ザルツ人」、特殊な能力を持つ「ジレル人」等が存在し、両者の間に格差があるという設定が加わりました。
旧作は、放送開始時点ではガミラス人も肌色の皮膚だったんですが、途中から青い肌に変更されたそうで、当時は製作側にも色々とあったんだなあ…と、今になって思うところがあったりします(苦笑)
ただ、この時の肌の色の変化の演出は初見時(といっても再放送だったか劇場版だったか…よく覚えてないんです、すみません)そんなに違和感を感じなかったんですよね。
デスラーが部下が大勢いるホール?みたいな部屋に入って、中央を歩いて壇上に行くシーンだったと思うのですが、歩いている中で段々と肌の色が変化していくというシーン。
今迄デスラーが肌色だったのは、浴びていたライトのせいでそう見えていた、ということだったらしいのですが、なんかすっと馴染んだように記憶しています。
で。
この多角的な視点により、2199ではデスラーの行動原理やガミラスという国家の複雑な事情が政治的背景が深く掘り下げられています。ヤマトの旅が単なる善と悪の戦いではなく、異なる文化や思想を持つ者同士の交流や対立として描かれることで、物語に奥行きが生まれました。
リメイク版にはガミラスの軍人であるメルダ・リッツといった新キャラクターが登場しますが、彼女なりの信念を持って行動する姿が丁寧に描写されています。
これにより敵であるガミラスにも感情移入できる余地が生まれ、単なる勧善懲悪ではない、より深い人間ドラマが展開されました。
メカニックデザインとキャラクター設定の変更
2199では、ヤマトをはじめとする艦艇や航空機のデザインが、より現実的な設定を意識して細かく描き直されています。
見た目は旧作とそこまで違いはないデザインですが、リメイク版では戦艦の、宇宙空間を進む際のスピート感や音声効果が替えられより臨場感があったと思います。(実際は宇宙空間は空気が無いので、音は聞こえないそうですが)
また、キャラクター設定も大きく変更されています。旧作では男性が多かった乗組員に、女性キャラクターが多数配置され、彼女たちにもそれぞれに役割やドラマが与えられています。
中でも、旧作では生活班長兼看護婦だった森雪は船務長という重要な役職に就き、戦闘面でも活躍するようになりました。山本玲という新女性キャラクターも登場し航空隊のエースとして活躍します。
最も大きな変化といえば、〝ヤマトの一部〟として乗艦していたユリーシャ・イスカンダルだと思います。旧作には登場しない、イスカンダル王家の末妹、彼女の存在も物語に深みを増していましたよね。
これはガミラス側にもいえると思います。先述のメルダの他、セレステラやエリーサ・ドメルといった女性キャラが登場し、それぞれが重要な役割を持って行動していました。
これらの新キャラ達は現代のアニメファンにとってより親しみやすく、物語への没入感をより高める効果があったといえるでしょう。このように、旧作のイメージを尊重しつつも、新しいファン層を獲得するための工夫がリメイク版には随所に凝らされていたと思います。
『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』賛否両論を呼んだ再構築
|
|
『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』は、旧作『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』と『宇宙戦艦ヤマト2』をベースに、物語が展開されます。
旧作の中でも特にファンからの人気が高い『さらば』のテーマを現代に蘇らせる試みは、多くの期待を集めました。わたしも映画公開時に、映画館に行って鑑賞しました。あの当時、凄い話題になってました。特にラスト。思わず涙ぐんだものです。
そのリメイク版ということで期待値は高かったと思いますが、公開されると「旧作の結末とは違う」という意見も多く、賛否両論を巻き起こしたことも事実です。
わたしも、この作品を否定はしませんが、この展開はちょっと…と思ったのも確かですし。物語の展開云々じゃなくて、『さらば』を象徴してた(と、わたしは思ってます)敵側の超巨大戦艦が登場しなかった!という点が残念でした。
この章では2202が旧作の持つ「愛」と「自己犠牲」というテーマをどのように再解釈し、現代の宇宙に新たな物語として描き出したのかを掘り下げていきます。
「愛」という、ヤマトを動かす新たな原動力
旧作『さらば』は、地球防衛軍の反対を押し切ってヤマトが再び旅立ち、最終的には主人公たちが地球を救うために命を捧げるという、自己犠牲をテーマにした物語でした。
しかし2202では、この自己犠牲の概念がより深く、多角的に描かれています。ヤマトが旅立つ理由が、「地球のため」「人類のため」といった義務感ではなく、「愛する人を守るため」「愛という概念そのものを守るため」という、より個人的で哲学的なテーマに基づいているのです。
旧作では古代進と森雪のロマンスが中心でしたが、2202では二人の関係性に加え、古代とヤマト艦長・沖田十三との師弟愛、人類と異星人との種族を超えた愛など、多岐にわたる「愛」の形が提示されます。
一例として、ガミラス人のランハルトと山本玲や、ズオーダーとサーベラーといったキャラの関係性や人のしての情が薄い設定だった(と記憶)に闘いを通じて親子の情のようなものを現わしていたキャラもいましたし。
この設定変更は、単なる自己犠牲の美化ではなく、現代的な価値観に合わせた「愛のためにどう生きるか」という問いを投げかけることで、作品に深みを与えていたと思います。
テレザート篇の拡張と追加キャラクターの活躍
旧作では短かったテレザート星への旅路が、2202では物語の大部分を占めるほどに拡張されました。テレサという存在がより神秘的で強力なキャラクターとして描かれていて、物語に重みを与えています。
旧作では反物質世界の存在という設定でしたが、2202ではテレザート星人の意識の集合体としての存在に変更されてましたし。そのことで、
また、地球側の新キャラクターとして斉藤始率いる空間騎兵隊や、アンドロメダ級戦艦の艦長たちが登場し、ヤマトクルー以外の視点からも物語が描かれます。特に、アンドロメダの艦長である山南修や、ヤマトの乗組員になったキーマン(ランハルト・デスラー)といったキャラクターは、それぞれの思惑や信念を持って行動し、物語をより複雑で予測不能なものにしています。
これらのキャラクターたちの活躍も、旧作にはなかった新たな魅力となっていると思いながら観てました。
『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち』旧作の精神を受け継ぎつつ現代的にアップデート
|
|
『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち』は、旧作『宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち』を基に制作されました。旧作はテレビスペシャルとして放送された作品で、当時人気がありました。
しかし、物語の展開が多少駆け足だったという声も少なくありませんでした。放送時間の制限があったため(と何かで読んだ記憶があります)結構カットされたとか。
2205は、その駆け足だった部分を丁寧に補完し、現代の映像表現で蘇らせた作品です。どのようなアップデートが施されたのでしょうか。この章では、リメイク版の新たなる旅立ちが旧作の良さをどのように受け継ぎ、進化させたのかを解説します。
スターシャやデスラーの物語を深掘り
旧作『新たなる旅立ち』では、イスカンダルのスターシャやガミラスのデスラーといったキャラクターの掘り下げが不十分でした。2205では、彼らの背景や心情がより詳細に描かれていたと思います。
特に、デスラーがなぜヤマトに協力を求めるに至ったのか、彼の内面の葛藤が丁寧に描写されています。また、イスカンダルという星とスターシャの関係性も、より深く描かれることで物語に重みが増しています。
例えば、旧作では語られなかったスターシャの過去や、イスカンダルの運命に関する新たな設定が加わりました。これらの要素は、旧作ファンが「もっと深く知りたかった」と感じていた部分を補完するものであり、作品の魅力をさらに高めています。
旧作では存命だった古代守がいない世界線での物語の展開は、どういういうになっていくのかなと興味津々で観たのですが
あー、成程~と、納得のいく構成だったと思いました。
地球とガミラスの共闘関係が明確に
旧作では、ヤマトとデスラー艦隊が共闘するシーンはありましたが、その背景にある両者の関係性はあまり深く描かれていませんでした。『2205』では、ガミラス帝国が地球と正式な同盟関係を結び、共闘する過程が丁寧に描かれています。
互いの星を救うために手を組むことになった両者の関係は、単純な利害関係だけでなく、信頼関係へと発展していきます。この共闘関係は、物語に新たなドラマを生み出し、今後のヤマトシリーズの展開にも大きな影響を与えそうです。
さらに、旧作には登場していない土門竜介(旧作ではTVシリーズのヤマト3に登場)の存在も、物語にかなり影響を与えてると思います。物語りの序盤は、まさかの古代進を親の仇として観ていた?感もありましたし。
ある意味、2205は土門竜介の物語りでもあったのでは、ともわたしは感じました。
『宇宙戦艦ヤマト3199』第3章までで描かれた旧作との決定的な違い
『宇宙戦艦ヤマト3199』は、映画『宇宙戦艦ヤマト ヤマトよ永遠に』とTVシリーズのヤマト3をモチーフに制作されているシリーズ最新作です。旧作映画はTV特番として製作された「新たなる旅立ち」の続編の物語で、突如現れた敵に地球が占拠され、その敵と戦い地球を取り戻す内容でした。
わたしは最近第1章(1~2話)を観たのですが、2つの物語をどう纏めて締めくくるのか。今後の展開にわくわくしています。
そこで、リメイクシリーズの新シリーズ『3199』と、旧作との違いを2025年9月現在で個人的に分かる範囲で考察します。
(続きを見たら、また書き足していく予定です)
物語の再構築
旧作『ヤマトよ永遠に』では、ヤマトがイスカンダルへの2度目の旅を終え地球に帰還した後の物語として描かれました(2202年)。
しかし、『3199』では、旧作とは異なる設定で物語が進められています。年号的には2207年に当たります。旧作では完結編後ですね。
旧作に登場した敵勢力「デザリアム」が、より強大な力を持つ存在として描かれており、物語のスケールがさらに拡大されています。また、旧作では描かれなかったヤマト乗組員の個人的な葛藤や、地球とガミラスの関係性も深く掘り下げられています。
これにより、単なる戦闘の物語ではなく、登場人物たちの心理描写や政治的な駆け引きが加わり、物語に重厚感が増しています。
古代進と森雪の関係性の変化
旧作『ヤマトよ永遠に』では、古代進と森雪の関係性も物語の重要な要素でしたが、『3199』での二人の関係がどうなっていくのか、最後には二人は再会する…とは思います。が、リメイク版は「え!?」という展開も多いので、すんなりとはいかないかも、という予測もできますし。
そういう面でも、今後の物語の展開が気になっています。
メインの二人もですが、個人的には旧作では戦死してしまうサーシャや土門くんに生き残って欲しいと、願っているところです。
まとめ
この記事では、『宇宙戦艦ヤマト』のリメイク版シリーズが旧作と比べて、どのような違いがあるのかを作品ごとに解説しました。
リメイク版は単なる焼き直しではなく、現代の視点からキャラクターやストーリーを新たに掘り下げ、新しい物語として再構築されています。
特に、敵側の視点を加えることで物語に奥行きを持たせたり、キャラクターに人間らしい葛藤を与えることで、より感情移入しやすくなっていると思います。
旧作もリメイク版も、それぞれ違った魅力を持つ素晴らしい作品です。 もし可能であれば、旧作とリメイク版を見比べてみることで、その進化と変化を感じてみてください。
この記事も、新作が公開されましたらその都度感想等を書き足していく予定です。
8. 参考文献・引用元リスト
『宇宙戦艦ヤマト2199』公式サイト https://yamato2199.net/
『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』公式サイト https://yamato2202.net/
『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち』公式サイト https://starblazers-yamato.net/2205/introduction/index.html
『宇宙戦艦ヤマト3199』公式サイト https://starblazers-yamato.net/3199/introduction/index.html
YAMATO CREW https://yamatocrew.jp/crew/


コメント